C言語はアプリ開発のために生まれたのではない

C言語は1972年に デニス・リッチー(Dennis Ritchie)
AT&Tベル研究所で開発しました。

目的はただ1つ:

「UNIXというOSを、もっと簡単に・移植しやすく作り直すこと」

当時のOSは アセンブリ言語 で書かれており、
CPUごとに書き直す必要がありました。
Cはそれを解決するために作られたのです。

つまり、

**C言語は「アプリを動かすための言語」ではなく、
「アプリが動く環境(OS)を作るための言語」**でした。


⚙️ 2. 「アプリ」ではなく「システム」を作るための言語

Cが想定していた用途は次のようなものでした👇

分類目的代表例
🧠 OS開発UNIX, Linux, Windowsの中核(カーネル)OSカーネル, ファイルシステム
⚙️ コンパイラ開発他の言語を翻訳するソフトGCC, Clang
💾 デバイス制御ハードウェアの入出力ドライバ, 組み込み制御
🔬 システムツールOSの周辺プログラムシェル, ネットワークユーティリティ

こうした**「コンピュータを動かす土台」**を作るのが、C言語の本来の目的です。


🧱 3. それでもアプリ開発に使われるようになった理由

C言語は「OSを作れるほど強力」だったので、
その上で動くアプリケーションも当然作れるようになりました。

実際に、
1980〜90年代にはCで次のようなアプリケーションも作られました:

分野代表例備考
エディタvi, emacsUNIX上で動作
ブラウザ初期のNetscape Navigator後にC++化
ゲームDOOM, Quake(id Software)高速グラフィック処理
OSツールgcc, make, grep, bashすべてC製
画像処理Photoshop(初期版)Cで開発

つまり、

Cはもともと「OS用」だったが、
あまりに速く・万能だったため、アプリにも使われるようになった のです。

🧠 4. Cは「アプリ開発言語」ではなく「基盤開発言語」

Cは、他の多くの言語の「内部実装」に使われています。

ソフトウェア中身の実装言語
PythonC(CPython)
RubyC
PHPC
GitC
MySQLC
LinuxC
WindowsカーネルC / C++

つまり、Cは「アプリを動かすアプリ」を作る言語です。
そのため「開発者向けの開発言語」とも言われます。


⚠️ 5. Cがアプリ開発に向かない点(本来の設計では)

問題点理由
メモリ管理を自動で行わないmalloc() / free()を自分で管理する必要
GUIが標準でないOSごとのAPI(Win32, X11, Cocoa)を直接操作
安全性が低い配列境界のチェックがない、ポインタ操作ミスでクラッシュ
開発効率が低い高度な抽象化(クラスなど)がない

➡ そのため、アプリ開発には
Cをベースに発展した C++, Java, C#, Objective-C などが使われるようになりました。


✅ 6. まとめ

項目内容
開発目的UNIX(OS)の開発のため
想定ユーザーシステム開発者・OS開発者
想定用途OS・コンパイラ・ドライバ・ライブラリ
アプリ開発用途副次的(後から広がった)
現在の立ち位置すべてのプログラミング言語の基盤

🧩 一言でまとめると:

C言語はアプリを動かすための“土台(OS・コンパイラ)”を作るために生まれた。
その高い性能と柔軟性のおかげで、後にアプリ開発にも使われるようになった。
だから、Cは「すべてのアプリの下で動いている言語」と言えるのです。


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